空を見上げて

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ミーン ミーン 「……………暑い」 「全くだ」 暑い。さっきの百倍暑い。 今、俺はこの見知らぬ無口な女生徒を背中におぶり、指定バックを二つ首にかけて歩いている。 「そういえば名前は?」 「………………」 無視ですか。 「…………サキ」 「ん?」 「…川崎……咲…」 「カワサキサキ?」 サキサキ……変な名前。 「………む…」 「ぐへっ」 こいつ……首絞めやがった。 「…今…悪口……言った」 「何も言ってないだろ」 「…………声に…出てた…」 だとしたらごめんなさい。 「…………名前」 「名前?」 「…お前の……名前」 おま……おんぶしてやってんだぞ、ばかやろー。 「ただの配管工事のおじさんさ。普段は赤い服に赤い帽子をかぶっている」 「………………」 「………………」 「ごめんなさい。坂下好輔です」 「坂下……こうすけ」 「はい」 「変な…名前……」 そう言って少し笑った。 その笑顔は…うん、少し可愛かった。
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