空を見上げて

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「………そういえば」 咲が口を動かす。 「……何年生…何組…?」 確かに、まだ名前しか教えていないし教わっていなかった。 「学年は二年生。クラスは知らない」 「……………記憶喪失?」 「違います」 どうすればその答えが出るんですか。 「転校してきたんだ。今日初めて学校に行くからまだわからない」 「…………ふぅん」 聴いといてそれだけですか…。 まぁ学校に来るのは初めてじゃないけど。 「咲は何年何組?」 「…私は……二年三組」 「…ふぅん」 「…………………」 「…………………」 しばしの沈黙。 「………むっ……!」 「ぐへっ!」 また首を………さっきより苦しい…。 「真似を……するな」 「ごめん…なさ…い」 「……ん」 そう言うと首を絞めるのをやめた。 「お前っ」 「…急がないと……あと三分」 それは急がないと。 「………遅刻したら…」 そこまで喋って黙り込んじゃいました。 「したら、何?」 「…………」 無視ですね、はい。 そんなことがあって、俺は汗だくになりながら坂を上りきった。
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