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翌朝。四人は寺で朝食を食べていた。食事は精進料理だけだったので昌介は不満げだったが、ここはお寺なんだしせっかく泊めてもらっているんだから静かにしろと義樹が説教(折檻)するとようやく大人しくなった。
「あの……何でこんなことまでしてくれるんですか?」
政哉は昨日から疑問に思っていることを聞いてみた。
「それは、後で殿に会えば分かります。」
「殿?」
「この尾梨国を治める小島尾梨守家宗様のことでございます。ちなみにこの寺は小島家の菩提寺なのでございます。昨日、殿にあなた方のことを伝えましたら是非とも会いたいと仰せになられていました」
「へえ、お殿様に会えるのか」
「殿、例の四人を連れて参りました。」
「そうか。行こう。」
そして、広間に戻った林照は四人に言った。
「さて、これから殿がお成りになります。殿が『面をあげよ』と仰せになるまで顔を上げないでください」
間もなく、四人が平伏している中、家宗が入ってきた。家宗は二十八歳で、髷は総髪に結っている。
(画像・羽川政哉)
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