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トシヤはインターフォンの受話器をとった。
「はい。」
相手はユイだった。
「私!開けて!」
トシヤは解鍵ボタンを押して、ドアを開けた。ユイが部屋に来る。トシヤは、いてもたってもいられない。ちゃんと思いを伝えることが出来るのかと、緊張してきた。そのとき、部屋のベルが鳴った。
「ピンポーン」
トシヤは受話器にはでずに、そのままドアを開けた。
「久しぶり!」
目の前には、笑顔のユイが立っている。トシヤには少し眩しかった。別れる前のユイとは何も変わらない。ましてや、別れる前よりも綺麗になっている。
「入るね!」
ユイはそう言うと部屋に入ってドアに鍵をかけた。トシヤは、ユイの行動が別れる前と変わっていないことに、少しの安心感を覚えた。
「また散らかして、ちゃんと片付けなきゃダメでしょう!」
ユイはビニール袋にゴミを入れながら、トシヤに言った。トシヤは慣れた口調で、
「いいよ!後でやるから!自分の荷物、まとめろよ!」
とユイの手を掴みながら言った。ユイはトシヤの顔を見て、
「同じだね。」
と言った。トシヤもユイを見た。トシヤはユイに自分の気持ちを伝えたくてたまらなくなった。ユイの瞳を見つめながら、ゆっくりと口を開いた。
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