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第1章…出会い
「ん~迷っちゃったかなぁ。」
首をかしげながらワユは言った。いくら歩いても砦に着かない。
「とりあえず休も~と。それにしてもここどこ?」
かれこれ2時間も探しまわり疲れが出てきた。日は落ち、空は赤くなりはじめた。ワユが腰を下ろしたその時。
「親方。こっちでっせ。」
「おう。テメェら腹くくれよ。相手はあの宝獣将だ。そこらの傭兵どもとは比べもんにならねーくらいの奴だ。」
「お、親方。ホントに大丈夫でっか?」
「あぁ。全員でかかればどうにかなるはずだ!なんたって成功報酬は20万Gだぜ。一生遊んで暮らせる金だ!」
そのような会話を交わした山賊たちは森を南に走って行った。
「なんだろ宝獣将って。20万Gの報酬ってことはきっとすごいんだろ~なぁ。よし、今の山賊追ってみよっと。」
『宝獣将』という言葉に興味をもち、ワユは先程の山賊を追って行った。
山賊を追って半刻、ようやく山賊たちは止まった。その前には銀髪で金色の眼で血のような紅い服を来た男が立っていた。
「山賊ごときが俺に何のようだ?」
「宝獣将セツナ、お前の首を取りに来た。野郎ども、こいつを囲め。」
山賊がその男を囲んだ。
「へへ。さすがの宝獣将でもこれだけの人数の前じゃどうしようもねーだろ。やれ!」
山賊たちが一斉にその男に襲いかかってきた。が、次の瞬間。
「!!!なっ」
男に襲いかかった山賊は一人残らず胴を切られた。
「さて。後はあんただけだ。」
剣についた血を振り払い残った頭目に近づいて行った。
「嘘だろ。あれほどの人数を一瞬で…ひっ」
「質問に答えろ。依頼主は誰だ。」
「そ、そんなこと、言えるはずが…。」
「なら死ね。」
「うわぁ~~~」
恐怖に満ちた悲鳴をだし、頭目は絶命した。
「こんな雑魚どもじゃ俺の命は取れね~よ。ホークリン。」
「へ~強いね。」
「!」
「わわっ、構えなくていいよ。あたしワユ。道を聞きたいんだけど。グレイル傭兵団ってどっち?」
「グレイル傭兵団?知らんなそんな名前の傭兵団。」
「ん~ここクリミアじゃないのかなぁ?あたし黒い穴に吸い込まれて。起きたらここにいたの。」
「!異界人か。」
「?異界人って何?」
「…そうか。ついてこい。」
「えっ。うんわかった。あなた名前は?」
「俺はセツナ。ここリベルタスで傭兵をやっている。」
これがワユとセツナの出会いだった。
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