プロローグ

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「うちの高校に来ないか?」  ある日の試合終了後、さっきまで憎たらしい程に照り付けていた太陽は西に沈み、空を茜色に染める。そんなある日の夕方、どこかで見覚えのある男性に話し掛けられた。見た感じ、年齢は50前後だろうか。俺のチームの監督(43)と比較しても、やはりこの男性の方がやや年を取って見える。  さて、こう話し掛けられた経緯も含め、一体何がなんだかさっぱりわからないので、とにかく落ち着いて状況を整理しよう。  俺はさっきまで練習試合をしていてダブルヘッダーの一試合目を一失点の完投で勝ち、二試合目では5番ライトで出場しタイムリー二本を放った。  そしてその後、二試合目に投げたチームメイトのダウンに付き合い終わったあと、帰る支度をしていた所。。  そんな最中に俺は変なおっさん――――もとい、男性に話し掛けられたのだ。  確か内容は『うちの高校に来ないか?』だったか? 「えっと…失礼ですがどちらさんでしょうか?」  貧しいボキャブラリーをフル稼働させて、なるべく当たり障りのないように尋ねる。  要は男性はどこの高校のスカウトなのかということが知りたい訳である。
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