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いや、侵入してないという確かな根拠も理由はないんだが、この男性から感じ取れるオーラ、とでも言えば良いのか、ともかくそんな雰囲気を醸し出してるようで、さすがに不法侵入紛いの事、それはないと思われる。
「あ、そうだ。一つ言い忘れてた。来年度から俺が監督になるから。教頭辞めて一般の教員として」
「は、はぁ…」
正直、適当にやり過ごそうと思っていた。来年度から監督になるとか言われても神山高校なんかに特別な魅力も感じないというのが本心だ。
「一応自己紹介しておくと名前は東村和雄(ヒガシムラカズオ)」
東村和雄……。
この顔といい名前といいなんか見覚えがあるんだが、まあ、気のせいだろう。
だが、この東村が次に放った言葉が俺のその微かな見覚えを明確なものとした。
「この前までは凌昌ってとこで監督してて、選手達には五回ほど甲子園に連れて行ってもらった、それで一応甲子園で準優勝も経験させてもらった。……まあその後は色々あっと神山で教師、深く言えば教頭に就いてるわけなんだがな」
「凌昌の前の監督……?」
この僅かな一言……。
だがこの一言で俺は神山への進学を決意したんだ。
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