いらっしゃいませ。

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 ――間違いない。  確かに此処にあったはずだ。七番目の四つ角。そう、確か此処に……。 「――無い……か」  そもそも期待する俺がおかしいんだよな。  子供の頃から時折見る夢。  それは一軒のレンガ造りに青い三角屋根の洋館風な建物の美容室。  景色は俺の家からそう遠くはない場所。郊外の住宅地に住んでいる所から少し離れた裏の街道。何処か見慣れた景色なのに、店が建ち並ぶ場所でもないからただ通り過ぎていた。  敢えて街道の奥へ進もうとも思わなかったが、今こうして初めて此処まで歩いて来たには漠然とした理由がある。  ただ、時折見るその美容室を……見つけたかった。  俺は繰り返す夢の記憶を辿りながら――現実に在ればいいな、と。  その夢を見る時は、決まって俺が何かに悩んでたりいろいろあって心身共に疲れきっている時だ。  だけど大概は夢の内容なんて忘れてしまう。
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