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「なにを言ってるのかわかんないよ。俺には能力なんてないしさぁ、他をあたってよ」
哲夫は嘲笑し、翔也の退路を絶つ。
「隠しても無駄だ。俺はお前の能力を見たことがある。それも恐ろしい力を持っている。……俺とこい」
「………」
大会に出るつもりのない翔也には、その言葉はとても誘っている様になど見えず、無理強いに近い印象を受けた。
━━ん~、まずったな。この男はどこまで見て、知ってんだろう。
━━……まさか全部ということはないと思うけど。
「返答は?」
哲夫は急かしている。今までの言動からも、決して彼が気の長い人物ではない事が窺える。
哲夫の周りに振り撒く威圧感のせいか、それとも暗い路地裏というシチュエーションのせいなのか。
さながら、どこぞのラスボスの様な雰囲気をかもし出している。
それを見ている翔也に余裕は無く、額からは汗が滲み出ている。
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