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大会や愛実の事から色々と考えていると、ふと愛実の不安がる顔が脳裏に浮かび、立ち止まる。
いつの間にか人通りは薄く、自分を含め数人しか往来していない。
━━患者が困る、か……
そう言った時の愛実の顔を鮮明に思い出す。
あの時の顔は克紀にとって、自分の不安を反映した様に思えたと同時に、自分に割かし近しい人間に隠し事をしているという後ろめたさがあった。
だが、その後ろめたい気持ちは安楽死させているという事ではなく、正規の医者ではないという事の方が大きい。
彼にとって安楽死も治療も同等のものであり、今やその考えにはなんら疑問はないためである。
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