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━━っと、患者で思い出した。
克紀は携帯を手に取り、メモの様な紙を見ながらボタンを押していく。
メモと携帯を見比べてから、携帯を耳にあてたまま歩き出す。
「もしもし? 月城ですが…」
「━━━━━━!!」
「……えぇ、それでちょっと予定が早まる事になりまして…」
「━━━!!」
「はい、今すぐに来て頂いても宜しいですか?」
「…━━━━━━」
「分かりました。では、御待ちしております」
そう最後に事務的な挨拶をして電話を切る。
「さて、忙しくなりそうだ……」
そう言って今度は違うところに電話を掛けながら、仕事場に向かって誰もいない通りを歩いて行く。
もう彼の頭では、大会の事など記憶の隅の隅に追いやられていた。
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