青春の突っ走り方

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     どうしたものかね。もう一度深く悩んだ。俺は段々思考と記憶の海にもぐっていった。      そのために気付かなかった。いつの間にか現れた廊下に響く静かな足音に。     「あれ、健太じゃん。なにしてるの? 部活は?」      突然教室に入ってきたのは、クラスメイトで同じ部活に所属していた女子、清水真帆。くりっとした瞳と短めのポニーテールが印象的な元気なやつだ。      清水は教室の入り口で俺の姿に気がつくと、そう尋ねながら自分の席へと向かった。      急に現れたことに対する驚きを隠しつつ、俺は咄嗟に質問の方を適当にごまかす。     「いや、ちょっとな。それより清水はどうしたんだ?」     「あたしは宿題のプリントを忘れたから取りに戻ってきたってだけ」      なるほど。明快でわかりやすい答えだ。じゃあ俺もさっさと帰るかな。      エナメルの鞄を持ち上げ机の上に置く。教科書類がぱんぱんにつまった鞄からファイルを取り出し、机の上の紙を入れる。          ――はずだった。     「退部届けぇ?」      しかし、それはいつの間にか近くに来ていた清水にあっさりと奪われていた。
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