かみ合わない会話

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腹立たしかった。 ヒロの面倒くさい注文にだって 一言の文句も言わずにいたし、「詮索するな」 といわれたら まるで 「待て」を命令された犬のように足踏みしながら必死にたえたのに… 「女は信用ならん」…か? そんな一言で私の気持ちを納めろというのか?   「もういい…解った。 教えてくれなくてもいい。 知ったからってなにも変わらないもんね」   そう言いながらも私は全く納得できていないのだ。 どうしてもパンドラの箱を開けなければ気が済まなくなっていた。 隠されたら知りたくなる。 知ったあとには 良くないことが起こる。 解ったことだけど… ヒロは 私が詮索をやめたことで満足していた。 「今日はなに食わしてくれるんや?」   「ヒロの好物の エビフライと ハンバーグですね!」   ヒロの機嫌は 簡単に直せる。 今まで付き合ったどの人より 明け透けでわかりやすい。 要は 常にヒロを肯定しつづければよいのだ。   「そっか スペシャルメニューやな… ポタージュつけてな」   今、私の精神的状態がこんなにすさんでなければ 大好きな答えだ。 抱きついてキスするくらい 大好きな答えなのに…
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