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ヴィオラの真剣な眼差しにルエルの母親も言葉を失う。
駆けつけてくれた事は嬉しいが、嘘とは言え自分の為にしてくれた事も嬉しい。迷った末にキュッと拳を握る。
「あたしを心配して来てくれて、ありがとう。
でもね本当は寂しかった。家族がバラバラになる事も、忘れちゃう事も」
「ルエル……」
「沢山のお土産より、どんな事をしたのか、どんな人と働いてるのか……そういう事を話せる方が嬉しいの」
初めて聞く本音に両親も兄も驚いていた。沈黙が続く中、ヴィオラの紅茶を飲む音だけが響く。
(呆れられたかな?面倒な子だって思った?)
ルエルは怖くて顔を上げる勇気が無かった。いらない子だと言われるのではないかと不安が襲う。
「そうだな。我慢ばっかりさせてごめんな。今からじゃ遅いと思うが、三日間休みを貰えた。久しぶりに話をしようか」
優しい声に恐る恐る顔を上げると、いつもの柔らかな笑みがあった。
「お母さんも美味しい食べ物を作るわ。何が食べたい?」
「俺も長期休み貰ってきたから、ゆっくりしよっかな」
「…………うん!」
花が咲いたように明るい笑顔のルエル。そんなルエルを姿に皆が幸せな笑顔を浮かべていた。
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