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「しっかり戸締まりするんだよ?」
「子供じゃないんだからそれ位大丈夫!」
「夜更かしも駄目だよ?」
「お父さんは心配症だなぁ……時間無いんでしょ!」
眉をつり上げて怒るルエルに困ったように苦笑する男性。その隣ではルエルと同じ髪色の女性がクスクスと上品な笑みを溢す。
「じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい!」
二人の姿が小さくなるまで大きく手を振る。角を曲がり完全に姿が見えなくなった所でゆっくり手を降ろす。
花が萎んでしまったように笑顔は消え、しょんぼりとした表情が浮かぶ。
「次はいつ帰って来るのかな」
思わず口にした言葉に慌てて首を振る。
「お仕事に行っただけ。帰って来ないわけじゃないもんね」
玄関へと真っ直ぐ伸びる石畳の通路を歩く。最後に少しだけ振り返ってみるが、やはりそこには誰もいない。
ルエルは無意識に溜め息をもらし、今度こそ家の中に入る。
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