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「お兄ちゃんからのお土産です」
「肝心の兄貴は?」
「お土産を渡すなり部屋に籠ってます」
「まぁ、センスはともかく、毎回毎回こんなに買ってくるなんて愛されてるな」
「…………はい」
トーンの落ちた声色だが、ルエルは笑顔を浮かべていた。ヴィオラは一瞬眉を寄せルエルの元へ移動し、ちょんと額をつつく。
不思議そうな表情のルエルの額を再度つつく。最初はちょんと触れる程度だったが、次第にキツツキが穴を開ける勢いで強さが増す。
「ちょっ、え?な……お師匠様!?」
さすがに痛くなってきたので避けると、トドメだと言わんばかりに勢い良く額を弾かれる。
予想していた以上に重い一撃にルエルは苦悶する。
「……何であたしデコピンされたんですか?」
「うるさい。このネガ虫が!」
「ネガ、虫?」
ルエルは未だ痛む額を擦りながら怪訝な表情を浮かべる。
「ネガティブでウジ虫みたいな奴って意味だ。ったく……子供のくせに遠慮しやがって」
「遠慮なんて」
「してるだろうが。オレにも――家族にも」
ヴィオラはぶすっとした表情で頬杖をつく。こうなると目標を達成するまで絶対に機嫌は直らない。
少しだけ二階を確認するが降りてくる気配は無い。
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