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「時折、考えるんです。家って家族が集まる場所なのに……今のあたし達はバラバラで」
「会話出来るのが稀ってのはキツイよな」
「たまに声や顔すら曖昧な時があって……今はまだ思い出せるけど、いつか完全に思い出せなくなったらどうしようって」
今にもは泣きそうに歪むルエルの頭をヴィオラは優しく撫でる。
ふわふわの髪のさわり心地がいいようで、新しい玩具を見つけたようにヴィオラはニコニコしている。
「……髪グシャグシャにしないで下さいね」
“チッ”悪人面での舌打ちする姿はせっかくの美人が台無しだった。
「ルル、お前はオレの事信頼してるよな? むしろ好き過ぎて困ってるよな?」
「後者はともかく……信頼してますよ」
両親達が家を空けるようになってから、ヴィオラは度々面倒を見ていた。心配だからとヴィオラが泊まりに来たり、逆にルエルが泊まりに行ったりした事もあった。
血の繋がりは無くとも家族同然に感じていた。
「どうしたんですか?」
「ルル、楽しみにしとけよ」
何故だか上機嫌に笑い始めたヴィオラにルエルは一抹の不安を覚えるのだった。
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