序章

3/6
前へ
/29ページ
次へ
あぁ、そうか。自分はもうこの少年のように若くはないんだな。 そう思いながら割れた卵、溶けたバター、潰れた牛乳パック、傷んだ野菜、異臭のする魚の入った破けた袋を眺めた。 私にはもう買い物に行って持ち帰るほどの体力はないのか…。 そう言えば店をでてからもう2時間も経つんだな。 私は 「悪いけど、お遣いを頼んでいいかな。」 と笑いながら少年に言った。 少年は安堵したかのような表情を見せ、そのあとににこりと笑い歯切れのいい声で 「はい。」 と言った。  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加