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「ぐ……ぅ……」
背中から地面に落ちた時のような衝撃が、俺の体を駆け抜けた。開いた口から、思わず言葉にならない声が漏れる。
しかし、それは一瞬の事。鈍い痛みはすぐに引き、変わりに先程までとは違った空気が俺の五感を刺激した。
瞼越しから、瞳を刺すような光。噎せかえるような、青々とした草の匂い。舗装もされていない、乾いた土の地面の感触。。爽やかに、制服の隙間を流れていく風。
呼吸が苦しい。吸っても頭に酸素が行き渡らないのは何故だろう。
そして、何やらひそひそと話し合う声達。
「あの……」
その中で、聞き覚えの無い少女の声が、俺の耳へと転がりこんできた。この呼び掛けは、俺に対しての呼び掛けだろうか?
眩しい光が当たる目をこすり、俺は土の地面から身を起こす。そして、見た。
「…………」
先程から何度も疑ってきた我が目を、俺は改めて疑った。そこにあったのが、俺が知っていた今までの世界とは、あまりにかけ離れた世界だったからだ。
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