錆びた世界、磨かれた世界

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 荒野と言うには青々しく。  ジャングルと言うには荒れ果てて。  そう、喩えるならばサバンナのような荒い世界。日本人がアフリカと聞いたら思い浮かべるような光景が広がっていた。  実際には、もっと荒々しく青々しいのだが。 「此処は……?」  逞しく力強い生命が生きているのが、本能的に感じられる程の自然。地球はこんなにも生きていたのかと思う程、確固たる自然。  そして、草木の丈が随分と高い。見上げるような高い木が、俺の頭上に聳えている。  少なくとも、俺が今まで見た事の無い場所に俺は居る。 「あ、あの……」 「え?」  暫し呆然となった俺の耳に、先程も聞こえた声が転がりこんできた。思わず、声の方を振り向く。  そこに居たのは、ネコミミ少女。幽霊のようにすり抜けて、訳の分からないコスプレをしていた彼女が、確かに実体としてそこに居た。
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