錆びた世界、磨かれた世界

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「君の混乱する理由は分かる。だが、とりあえず先に俺の話を聞いてくれないか?」 「え、あ……ええ?」  ぐるぐると色々な情報が頭を駆け巡り、訳が分からない。が、頭に耳を乗せた一人の男が、落ち着いたその静かな声で俺に話し掛けてきた。  ピンと三角形に尖った白い耳を乗せ、白銀色のやや長めの髪。華奢な体をぴっちりとした服に身を包んだその男が語る内容はこうだった。 「とりあえず現状説明だ。此処は、君が居た時の約八千年程経った地球だ。そうだな……簡潔に言うと、タイムマシンのようなもので君を連れてきた。」 「……え、あ、はい。」  自分でも情けない事に、俺の口から出たのは子供のような返事。分からない質問に答えられない、子供のような返事が漏れる。 「とりあえず、質問はあるかな?」  この男、とりあえずが口癖なのだろうか。いや、そんな事を考えている場合じゃなくてだな…… 「えっと……アンタは誰なんだ?」  いやいやいや、聞きたいのはそんな質問じゃないだろ、俺。駄目だ、さっきから頭が回らない。深呼吸しても、まるで頭に酸素が行き渡っていないかのようにずしりと重い。
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