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「進人類は、殆ど数を減らしていた人類を皆殺しにし、新たな世界を作り上げます。資源の枯渇などの重大な問題をも解決したかと思うと、進人類は進人類のみの世界を作り上げます。その繁栄が、ずっと続いたかと思われました。」
息継ぎもそこそこに、サキは歴史を語る。まるでゲームの中の世界のような歴史を、ただただ淡々と。
「しかし、同じ進人類でも国家が生まれ規模が広がっていくと、相容れない者が出てきます。そう、ケイ様が居た時代のように、進人類同士で戦争などが起きていったのです。」
「……まあ、分からなくもない。」
人間誰しも相容れる訳じゃない。学校の狭い教室内ですら、喧嘩が起きるのだ。規模が大きくなれば喧嘩も増えるのは当たり前だ。
「その相容れない理由は、進人類の特徴にあります。知能が高まり、そして超能力のような不可思議な力が備わったと先程申し上げました。その二つの特徴のどちらが優れているのか、それが大きな理由です。」
「……馬鹿馬鹿しい、どちらも優れているでいいじゃねえか。」
「人間、自分が思う事以外は間違いだと決めつけるものですから。」
時代が変わっても……人間の中身は変わらないものだ。
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