錆びた世界、磨かれた世界

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 ……何とも壮大かつ不可思議な話だ。ほう、と軽い溜め息と共に、俺の中で鬱屈とした感情を吐き出す。 「ん、待てよ。今の話に獣人は出てこなかったが、それは一体?」 「それは、また話が遡ります。実は最初の方に話した進人類には、足りないものがありました。それは、野生の力強さや逞しさです。それを得る為に進人類と動物を組み合わせて、更に進化した人類を生み出そうとしました。」  思わず開いた口が、閉じるのを忘れてしまいそうな話。まさに人体実験。それが未来に行われていたとそこまで考えて、俺は嫌な想像を追い出すように頭を振った。 「しかし、そう簡単に都合の良い人類は生まれませんでした。確かに野生の力強さや逞しさが備わった人類が生まれましたが、代わりに進人類が持つ高い知能や超能力は殆ど失われてしまったのです。」 「それが、獣人だと?」 「はい。進人類は、その生み出した獣人を奴隷として使う事を考えました。そうして進人類の奴隷として使われてきたのが、今の獣人達の祖先です。」
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