ネコミミ揺らす、その先に

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「今日もお勤めご苦労さんっと……」  勉強道具の全く入っていない鞄を肩に背負い、俺はホームルームを終えたばかりの騒がしいクラスを抜け出した。  金曜の放課後は普段よりも騒がしく、すれ違う奴らの会話も少しばかり五月蝿い。  誰もが浮かれる週末だ。勿論、俺も例外ではない。 「さって、今日は何連勝出来るかなー。」  チャラチャラとポケットの中で小銭が楽しそうな音を鳴らす。まるで今にも使ってくれと言わんばかりに。  俺が向かう先は、ゲームセンター。毎週金曜はゲームデーと自分の中で決めており、今日はその待ちに待ったゲームデーという訳だ。  足取り軽くなるのも、当たり前。 「……っと、誰だよこんな時に。」  浮かれて足を進めて歩いていた俺だったが、その足はピタリと止まる事になる。原因は、ブルブルと着信が来た事を伝える携帯電話。 「はい、もしも……」 『どこをほっつき歩いているのよ、この馬鹿北島!!』
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