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「それは違うわね。」
だが、意外な事に俺の主張は簡単に覆された。
「私達は、あんたの未来を奪ってなんていないわ。」
一番の年上と思われる女性が、俺へと一歩近付く。豹柄の……いや、まるで豹の毛皮のような服にスレンダーなその身を包み、その両手には女の手には似合わないメタリックなメリケンサック。
頭には、豹柄の丸い耳。
「むしろ、あんたを助けたと言っても過言じゃない。感謝してもらってもいいぐらいよ。」
「……どういうことだ?」
奪ったどころか救うとは、一体どういう事だろうか。
「この時代に連れて来る救世主となりえる人間には、ある条件があるの。その条件の一つに……何らかの事故などで、殆ど寿命を全う出来ない人間というのがあるわ。」
「……まさか。」
「そのまさか。あんたは、もうすぐ死ぬ所を助けられたようなもんなのよ。もちろん、他にも条件はあるけどね。」
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