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「私達は感謝されるならまだしも、恨まれる筋合いは無い。ただ一つ願うならば、私達と一緒に戦ってくれないかしら。」
「いきなり連れて来られて、はいそうですかなんて言えると思うか? そもそも、今までのほほんと生きてきた俺が、いきなり戦いなんて……」
俺は、死んでしまう所だった。が、そこを助けてもらった。助けてもらった事に感謝すべきなのか、それともあのまま死ぬ運命を辿った方がよかったのか。
いや、死んだ方が良い事なんて無い。それだけは確かだ。死んじまったら何も残らない。
実感が全く湧かないが、俺は助かったんだ。そして、助けてくれた相手は俺に助けを求めている。
しかし、助かった地は戦争真っ只中。
「ケイ様。」
黙り込んでしまった俺を見かねてか、サキがポツリと俺の名を呼ぶ。ゆっくりと顔を上げると、僅かに潤んだ瞳が真っ直ぐに俺を見つめていた。
「私達が酷い事を言っているのは、私達も重々理解しております。ですが、私達にはケイ様しかいないのです。」
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