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「俺しかいない……」
頼れる相手は俺しかいない……だから頼っている。それに俺は応えないのか? いや、俺はそれに応えようじゃないか。
こんな若い俺で、か細い俺で、ちっぽけな俺だけど、彼女たちをこんな俺を頼っているのだ。
「サキ。」
「はい。」
ゆらりとネコミミが僅かに揺れる様が、まるでスローモーションのようにゆっくりと俺の目に映る。
真っ直ぐに俺を見つめる先の瞳に、俺の瞳を重ねる。そして、俺は長い戦いへと身を投じる一言を口にする。
「俺は、一体何をすればいいんだ?」
その言葉を皮切りに、無表情だったサキの顔が見る見るうちに笑顔へと変わる。
土で薄汚れた彼女だが、その笑顔は道端で一輪だけ咲いている花のように可憐で、そしてその力強さに俺は釘付けになった。
これが……初めて見る彼女の笑顔であった。
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