世界にただ一人だけの人間

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「……そういえば、何ではるか昔の人間である俺が必要なんだ?」  踏みしめた土の感触を味わいながら、俺達は歩く。湿り気が全く感じられないこの空気が、俺には新鮮で仕方ない。  もっと空気を味わいたくて、深く深く息を吸い込む。が、どんなに吸い込んでも……何故だか酸素は俺の肺を満たしてはくれない。  チラリと隣に視線を向けると、俺によりそうようにぴったりとくっついたサキが歩いている。 「今はまだ、言えません。」 「……そうか。」  今はまだ、という事はいずれ教えてくれるのか。だが、考えてみても全くわからない。  真人類とやらは、何やら滅茶苦茶頭が良いらしい。機械や兵器の開発に長け、戦争にそれらを用いて戦っている。  神人類の方はというと、一言で言えば超能力者。その超能力を駆使して、真人類に対抗しているやら何やら。  獣人には強靭な肉体が与えられ、肉弾戦では敵無しだとか。  そんな超人達が生きる世界に、旧人類と化した俺は……一体何の約に立つのだろうか。
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