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耳が痛くなるような大声が、手にした携帯から響く。
「……あんまり大声で叫ぶなよ。耳が痛くなるだろ? で、新井は一体何の用だ?」
『何の用って? ボクシング部の部長が、あんたを探してるわよ? また部活サボってるんでしょ!』
ガミガミとお説教。厄介な奴にバレたな……と、俺は心の中で毒づいた。
「うるさいな……そんな事はバスケ部のお前には関係無いだろ? 俺は頭数合わせに入れられた素人って何回言えば分かるんだよ。てか、俺は忙しいんだっつの。」
『あんたに関係無くても私は関係あるのーー』
プツッ、っと一方的に電話を切る。まだ話し途中だったようだが、強制的に話しが途切れた。ついでに、電源をオフにする。
ちょっとした邪魔が入ったが、これでよし。げた箱で靴を履き替えると、俺はスッキリした面持ちでゲームセンターに足を進めていた。
初夏の太陽はギラギラと暑く、気分も熱くなってくるようだ。校門を抜ける頃には、先程の電話は俺の頭から無くなっていた。
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