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「……街も大分変わったな。こんな時間にコスプレした奴が歩いてるよ。」
何となく一人ごちる。我関せずと忙しそうに歩く人の波の中、ソレはあまりにも浮いた存在だった。
質素で雑な作りの布を継ぎ接ぎし、ワンピースのように纏い。その上から、薄汚れた色合いのシャツを羽織り。そんなどこぞの民族衣装のような服装。
少女が着けるには少々無骨で大きめな、メタリック調の腕輪が何故か片手に二つ。
それだけでも充分に異風だが、目立つのはそれだけではない。
少し汚れているものの、意外にも整った顔立ち。ざんばらに短く切られた黒髪の上には、耳までスッポリと覆う編み目の荒い帽子。
袖からチラリと覗いた腕は、まるで小枝のように華奢で細い。
そして、最大の特徴。それは、帽子からちょこんと顔を出しているモノにある。
「ネコミミ……?」
そう、日常生活ではなかなか見る事はない代物。それが、彼女の頭の上にちょこんと乗っかっていた。
そんな異国チックな出で立ちの彼女が、道の真ん中で突っ立っているのだ。気付かない方がおかしい。
キョロキョロと何かを探すように辺りを見回す彼女。何だか変な気分になった俺は、足を止めて彼女を眺めていた。
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