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それは突然の事であった。
「なっーー!?」
少女が自分の細い腕に二つ着いていた腕輪をおもむろに一つ外すと、それを手に俺へと駆け寄ってきた。
そして……俺が逃げる間も無く、その腕輪を俺の腕にカチャリと嵌めたのだ。
「え……触れられる?」
思わず、俺は目を疑う。先程まで通行人をスルリとすり抜けていた彼女のか細い手が、俺の腕を掴んで腕輪を嵌めたのだ。
まさか俺も幽霊? なんてどこかズレた考えすら、俺の頭をよぎる。
「おいお前! 一体……」
訳が分からない。訳が分からない。何が起きようとしている? 何に巻き込まれようとしている?
「説明している時間が勿体無いので、話は後にして下さい! 説明と謝罪は後でキチンとしますから、今は急ぎます!!」
そう切羽詰まった声で一息に言い切ると、自身の腕に嵌められた腕輪を俺の腕輪にカチリと触れさせた。
俺が覚えていたのは、そこまでだった。
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