父・壱夜の場合

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  『こンの‥‥‥‥クソ親父ー!!!!!!』 『ギャァアアアアア!!!!!!?』 蓮見家に朝から響く大声の主は長男の双葉と大黒柱の父、壱夜だ。 『今日も始まったねぇ双葉兄とお父さんの口喧嘩。』 『いやあれは双葉兄が一方的に怒鳴ってるだけだって。』 へらへら笑い朝御飯の味噌汁を啜りながら会話を交わしているのは末っ子の双子、皐月と睦美。どうやらこの大声は日課になっているらしい。 『また父さんが床で寝てたんじゃない?。ベッドで寝てたら怒鳴んないでしょ。』 既に朝御飯を食べ終えた長女三咲が自分の食器を片付けつつ、父の部屋がある2階を見上げながらぽつりと呟く。 『何度言えばベッドで寝んだアンタは!!!。しかもパソコンの電源入れっぱじゃんか!!』 『いやぁああ!!!!』 よっぽど声が大きいのだろう、1階にいる三咲達に双葉の声は筒抜けである。そんな大声を出している壱夜は悲鳴と共に助けを求めていた。 『‥‥‥止めてくる‥』 そう言って静かに食事を中断し立ち上がり、壱夜の部屋へと向かったのは次男の椎那。三咲が止めようともせず、毎回このやりとりを楽しんでいるせいか、自動的に二人の仲裁役になってしまっていた。
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