† 底 †

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「やめて!やめて下さい!!」 扉の向こうから 聞こえる 泣き声混じりで 耳を突くような 心を裂かれるような そんな痛みを帯びた 女性の声 「お願いします・・・あの子には・・・あの子は関係ないの・・・!!」 何者かを引き止めるような 必死な声 「うるさい!!離せ!アイツは災いの子だ 存在自体が悪なんだ」 冷たく刺すように言い放たれる声 扉の向こうで 言い合っている 鍵の掛かった部屋の向こう側 耳を塞ぎたくなるような毎日 こんな日常の中 僕は日々を送っているんだ 泣き叫び 縋り付くようにソレを止める母親 その制止を振り切り 鎖された扉に手を掛けんとする 氷のように冷たく冷酷な父親 これが 僕の両親 これが 僕のいる空間・・・ 光なんか見えない 温もりなんか感じない 忌み嫌われた存在 それが 僕なのだから
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