† 雨 †

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「何度言えば分かるんだっ!!」 激しい罵倒と共に 振り下ろされる 大きな手 目も眩むような衝撃と痛みが 僕の右頬半分を支配する 「貴様は本当に無能で役立たずだな 何も出来ない…赤ん坊以下だ!!」 「……ごめんなさい…ごめん…なさ…」 こぼれ落ちそうな涙 壊れそうな心を必死に抑えて僕はひたすら謝り続けた 「もういい その言葉は当の昔に聞き飽きた…さっさと目の前から消えろ 役立たずめが」 父さんは僕を嫌いなのだ 蔑むような視線で僕を見下ろすその目には とても深い深い闇が見えた 幼くして 僕はそんな父さんの心を感じていたんだ 「ごめんなさいね…お母さんがもっとちゃんとしていれば貴方は叱られずに済むのに…」 そんな仕打ちを受けた後には決まって 母さんの治療と懺悔が待っている 「少し前まではあんな人じゃなかったのに…」 母さんは知らない 本当の父さんの姿を… 出会った時から 僕は 既に恐怖を感じていたのだ あの人は僕が四つの時に 初めて出会った父さん…義父さんなのだ…
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