観察

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乾が本当に狼男か。 それを調べようと夕べ思い翌日の今日、早速実施しようとしたがすぐに問題があることに気がついてしまった。 それは 「……乾って普段どこにいるんだ?」 観察しようにも相手が見当たらないのだ。 移動教室中と休み時間を使って思い当たる場所に目を走らせても、乾どころかほかの不良すら見当たらない。 これがなんでもない日ならば沢村は安心できるのだが、今回は目的が違う。 乾を見つけなければだめなのだ。 「どこだよー…」 そんなこんなですでに今は昼休み。 机に伏せて多分、サボったんだろうと思いはじめたとき、 「さっわっむら!」 ガタンッ! 「うわっ!」 びっくりして顔を上げると男子生徒がニヤニヤしていた。 「市来~驚かすなよ~」 さっきのガタンは机を合わせるのをわざと思い切りした音だ。 市来賢人(いちきけんと)。それがこの生徒の名前、不良オタクである。 不良『で』オタクではなく、不良『の』オタクだ。 校内の不良は一通り調べてていて不良の間では情報屋でけっこう有名らしい。 (……あ、そっか) そこまで考えて沢村は思う。 市来なら乾のこと知っているかもしれない。 そう思い聞いてみた。 「市来、乾鉄浪って知ってる?」
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