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「え、あ、いやその……」
「なに言ってんのか聞こえねえな」
いやな相手にあってしまった。沢村は思った。そして、なんとかして離れようと考える。
と、突然乾が沢村が手に持っていた本を取った。
「こんなもん読んでるからぶつかんだよ。俺がもらってやる」
「か、返してください！」
「なら金よこせ」
「お金は……」
「ねえなら返せないな」
乾は沢村から取った本をパラパラと読んだ。
「つまんねえの」
鼻で笑った。
じゃあなと言って乾は立ち去った。
返してほしかったら金をよこせと言い置いて。
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