〈Ⅰ〉~遥の墓参り

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  朔月は買って来たモンブランを口に運ぶと、思い出したように話し掛けた。 「さっきね 遥さんの事務所に行ったんだけどね、誰もいなかったんだよね。 一緒にケーキ食べたかったのに」 「遥だって仕事があるんだ。 きっと今頃浮気調査とかをやっているんだろう」 朔月はふーんと頷き紅茶に角砂糖を加えた。 悠は久しぶりのゆったりとした時間を満喫しているようだ。 「仕事も速く終わったし、今日は遥も仕事みたいだし、たまには僕が夕食でも作ろうかな」 「お兄ちゃんが料理とか久しぶりだね」 昔は朔月より悠の方が料理が上手かったのだが、今ではすっかり朔月に追い抜かれてしまった。  
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