〈Ⅶ〉~死者の想い

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  僕がこれから殺す事になっている人間は、此方の動きをどこからか得て、殺し屋を雇って居るらしいのだ。 僕らは人殺しと呼ばれる存在だが、今回はプロの殺し屋が相手になる。 だから今日が最期の殺しになるだろう。 詩季もそれは分かって居るだろう。 だから僕は余計に寧音に会いたかったのだ。 会って何を伝えたいかなど分からないが… 僕は手元のコーヒーをブラックのまま口に運んだ。 3度口にコーヒーを運んだ時に、目の前を見たことのある人物が通りかかった。 寧音だ。 彼女の周りには4人の子供が歩いていて、女性は大変そうにも見えたが、笑顔が心底楽しそうだった。 立ち上がり声を掛けよう。 今ならばまだ間に合う。 一言ありがとうと伝えよう。 そう考えた時、女性の後ろを歩いていた少年に気が付いた。 少年は人差し指を立て、口元に当てていたのだ。 彼は唯一自分が生きて居ることを知っている少年だ。  
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