52人が本棚に入れています
本棚に追加
僕がこれから殺す事になっている人間は、此方の動きをどこからか得て、殺し屋を雇って居るらしいのだ。
僕らは人殺しと呼ばれる存在だが、今回はプロの殺し屋が相手になる。
だから今日が最期の殺しになるだろう。
詩季もそれは分かって居るだろう。
だから僕は余計に寧音に会いたかったのだ。
会って何を伝えたいかなど分からないが…
僕は手元のコーヒーをブラックのまま口に運んだ。
3度口にコーヒーを運んだ時に、目の前を見たことのある人物が通りかかった。
寧音だ。
彼女の周りには4人の子供が歩いていて、女性は大変そうにも見えたが、笑顔が心底楽しそうだった。
立ち上がり声を掛けよう。
今ならばまだ間に合う。
一言ありがとうと伝えよう。
そう考えた時、女性の後ろを歩いていた少年に気が付いた。
少年は人差し指を立て、口元に当てていたのだ。
彼は唯一自分が生きて居ることを知っている少年だ。
最初のコメントを投稿しよう!