何か用?と彼女は言った。

1/22
前へ
/307ページ
次へ

何か用?と彼女は言った。

  かつて神々は争ったと、後の人々には伝えられた。       “曰く、それはひどく無垢な夜の化身と。    ある人間の物語である”       全てが終結した世界で“ひと”はこの世界に君臨する。   一方、人と比べて一線を越えた存在はみな、幻想となって隔離された世界に移った。     それは妖精だったり、吸血鬼だったりする。   共通するのは、種族の違いはあれど、その世界ではみな平等だと言うことだ。       “純粋過ぎたが故に、それは悲劇でしかなり得なかった。    悲劇でしか、なり得なかった”       自身を犯すものを消し去ろうとする、至極当然すぎる衝動。   相容れぬものを排除しようとするのは、ごく自然な事である。  
/307ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加