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フウド「わしが手を下したいのは誇りをなくした犬共(人狼)だけだ」
リガルト「手を下す?」
フウド「……信仰ってのはな、いつか廃れる。
人狼達は俺の存在こそ忘れはしないものの、祈りをしなくなった……。
わしもわかっていたんじゃ。何もないところに、へえこらするのは大変だからな。
それに、僅かな祈りもあったしな。じゃが、ある時。
珍しい人狼族総出で俺に祈ってきた。なんだと思って、行ってみれば……」
リガルト「なんだったのですか?」
狐天月「虎の威を借る狐」
リガルト「どういうことですか?」
狐天月「人狼達はね、フウドの力を借りて、世界征服しようとしてたのよ」
リガルト「はい!?」
フウド「そう思うだろう?あの犬共は、自分達の犠牲を減らすが為に俺の力を使おうとしたんじゃ!!くう~!腹わたが煮えたぎってくる~」
狐天月「まあ、それもある種の戦略の一つだとは思うけどね」
リガルト「あなたのことは分かりました。しかし、あなたが私の中にいたのは……」
フウド「慌てるんじゃあない」
狐天月「じゃあさ、リッちゃん。人狼達はどうやってフウドを操ろうとしただろうね」
リガルト「……検討がつきませんね」
狐天月「それはね~……。ってあれ?どうだっけ?」
フウド「……ったく、いやな女子だ。
人狼達はな。俺の意識を封じて力だけ取り出す体を作ったんじゃよ」
リガルト「まさか!?」
フウド「お前だよ。リガルト。生まれたばかりの人狼の子は膨大な魔力を持っている。そこに魔術によってわしを捕まえる為の肉体を施したんだよ」
狐天月「彼らの計画通りならば、リッちゃんは人狼達の生物兵器になってた訳」
リガルト「……」
狐天月「まあ、封印の際、かなり抵抗したせいで、多くの人狼が死んだんだよね」
リガルト「……」
狐天月「手に入ったけど、殺された人の家族・友人達は、仇であるリガルトが生きることが許さなかった。『このまま育てる賛成派』と『処分するべきだ』っていう反対派が多かった。それで結構揉めてたんだよね」
フウド「けっ。なんの為にやったんだよ」
リガルト「……フウド様」
フウド「……なにもいうな。今ので大分参っただろう」
リガルト「……私の中にいたのはとてもすごい方だったんですね……」
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