‐終結‐ 国家解体戦争

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 何を考えているのだ、彼女は。私は悪罵にも似た呟きを漏らした。  だが、結果として彼女の通信に動かされた形となった私は、一度回線を切り替え、コロニーの医療機関に連絡を入れていた――呆れや苦渋、そして葛藤とが入り混じった視線は、詳細が転送された携帯端末に向けられていた。  知らせを受けたのは、わずか二時間前だ。  緊急回線――コロニー格納庫に眠る技術研究用のネクスト機体の処分に対する会議の最中、それは突如として届いた。  誰もが一様に空白の席を凝視する――ネクスト技術の生みの親であり、コロニー・アナトリアを一躍『最有用的』な存在へと押し上げた男の一人娘がいる筈の席へと。  しばらくの間を開けて回線を接続した矢先――ひどく切迫した形相の彼女の顔が飛び込んできた。  まだ年相応のあどけなさと若さを残す顔立ち/ショートヘアに整えられた父親譲りの金髪/必死さに満ちた母親譲りの碧眼――通信が繋がった事に一瞬の安堵を浮かべ、続いて切迫感に満ちた内容を告げた。
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