第一章:カゴノナカノヒメ

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中に入ると そこは数多くの魔具(と思われるもの)のせいで外見よりも更に狭々としていて 人3人で やっと身動きがとれる程だった 「適当に、場所を見繕ってくれ」 そういう司令官様はすでに部屋の奥の方に陣取っていて 俺達は 言われるがままに 隙間を見つけて腰を下ろした 「それで… どこから話たら良いか…」 その問いかけに 俺は少し考え 「とりあえず あの女と、あんたと、姫様の事を 説明して貰いたいんだが」 「わかった」 司令官様は頷くと 脇に置いてあった アンティーク調の小さな鳥かごをこちらに投げてきた 俺はそれを左手で受け止めると 不意に中を覗いてみる 「…!? これは?」 「?どうしたの?」 俺の反応に、ヴィッツは小首を傾げ 後ろからそれを覗く 「わっ!? 何これ!?」 と 声を荒げて、尻餅を付くヴィッツ 鳥かごの中には 青白い光の玉がフワフワと浮いていて 「それが お前達の今回の目的の人物だ」 「ってことは…コレがお姫様!?」 その問いに司令官様は頷く ますます ワケがわからない… この物体が姫って… コレじゃまるで… 「それはレイラの魂(ココロ)だ」 予想が予想外に的中してしまい 俺は一緒フリーズ状態に陥る 「えぇっと つまりはどういう事かな?」 そう切り替えしたのはヴィッツで 見ると、先ほどまで腰を抜かしていたヴィッツは いつの間にかきちんと座り直していて(といっても胡座状態)いつものひょうきんな表情ではなかった 「なら 順を追って説明してやろう」 言いながら 司令官様は 指先で空中に あの、青白い光で何やら文字を書き出す 「お前達は この魔法陣の示す意味がわかるか?」 俺達は首を横に振る 「これは生命の限界を…つまりは死を 封印する魔法だ」 俺達は思わず目を見開く 「まぁ 未完成だがな 私はその昔、この魔法とよく似た魔法…いや 呪いをかけられた 2000年ほど前にな それ以降 私はこの姿から変わりはない 私にこの魔法をかけた奴は…… …いや その話はいいか」 司令官様は首をふり 一旦話を切る 「とにかく、 つまりは、私には死という概念が存在しない」 いきなりそんな事を言われても 勿論信じられるはずもなく 俺は、自然と訝しげな目線を彼女におくっていた
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