第一章:カゴノナカノヒメ

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ヴィッツが言うと 司令官は静かに頷く 「え…? でも、その…ココロって それだけでも存在できるものなのか?」 「存在はできる だが、実体は持たない」 彼女のこたえに 再び疑問が浮かぶ 「じゃあ、あれは…」 「レイラだよ」 俺達は再び目を見開く 「はっ!? どういう…」 「レイラは、私とは違った 不自由を悩みにしていた 自らの立場柄、普段外にも出られず ろくに人に会うことすらままならない 自らの 立場にな だから 私がその不自由から解放してやったのだ」 司令官様は先ほどのアンティーク調の鳥かごを指さし 「その体から 魂を解放してやったのだ 私の、魂の餌となってもらう為にな」 「つまりは?」 「実体を持たない私のココロは 何かしらの媒体なくしては私の寝首をかく事もできないからな うってつけの器を用意してやったという事だ」 なる程 ようやく話がつながった 「つまりは この任務は、あんたがあんたのココロとやらを狩るために レイラを含めた俺達を利用したもんだったってわけだな?」 「いや レイラもコレを望んでいたのだから その言い方だと少々きこえがわるいな」 「同じ事だろ? その姫さんだって 結局は 今度は本当の狭いカゴの中に閉じ込められてるわけだし」    そういうと 司令官は、おもむろに自らの後方にある魔具の山に手を突っ込むと 中から趣味の悪い傀儡を無造作に引っ張りだした 「かせ」 カゴを要求する彼女に 俺は素直にこたえる カゴを手にした司令官様は 今度はカゴの中に手を突っ込み 中の光の玉を掴むと そのまま、それを人形の胸に押しつける 「本当は 私の魂を破壊した後に、コイツはすぐ体に返すつもりだったのだが… お前のせいで予定が狂ってしまったからな」 なんて 司令官が愚痴っぽく言っていると 先程の人形が重たそうに頭をもたげていた 「っ!?」 俺達は思わず息を呑む 「いいよ こっちのが、楽だし ってか、わたし 元の体になんて戻りたくないし」 ポキッポキッと 肩を鳴らしながら そういう人形は、 固まった俺達をみると 「あぁ 報酬?報酬は、ジェーミアに渡してあるから ま、それはグワヴァルァについてからね」 などと言っていて いやいや つか、本当に、それ以前に 色々ツッコミたい所まんさいなんですが!? などと 心の中でつっこんでみる 俺 どうやら 俺にはまだまだ説明と時間が必要なようだ
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