第一章:カゴノナカノヒメ

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今回の 俺たちの目的は、 噛み砕いて説明すると この、ラスタリア城への潜入 そして 当ラスタリア王国の君主ディライ=シュヴァーン=ラスタリアの一人娘にして姫君 レイラ=シュヴァーン=ラスタリアを… 盗む 『まぁ いちいちこっちから指示なんてしなくても…セドリックが目的さえ果たせれば…』 何言い晒してくれとんじゃこの阿呆は? そこらの民家に小銭を盗みに行っとるのとはワケが違うんだぞ? なんて言えば 『大丈夫大丈夫 先生はセドリックを信じてるさぁ~』 多分 いや 絶対、無理 ム~リ~ こんな大仕事に この配人って… 出発の前に、 上からこんな話を聞いた 今回の任務の依頼者は他でもない レイラ本人である事 そして リスクに見合わない低報酬である事 なら、 下っ端に任せりゃ良いさ 的な話。 いや まず断れ、と そういう話じゃねぇの? 『「いやいや、 困ってる人がいたらほっとけないっしょ~」』 …… 重なって聴こえる声 まさか… なるべく心穏やかに 声の聞こえた方…つまりは、後方頭上をゆっくりと見上げる 「やっほ」 扉の上からひょっこりと顔を覗かせる人とも獣ともとれるそいつ…当任務の司令補佐官であるヴィッツは やる気のない緩い笑みを浮かべていた 「覗きじゃん…」 俺の現在位置 男子トイレ個室 勿論施錠済み 「何で此処にいんだよ」 と ヴィッツは 何も言わず へら~ っと笑う イラッ 「あでッ!?」 渾身の後ろ蹴りで その扉ごと、ソイツを蹴り倒す 何を考えてるのか!? バカなのか!? 破滅的なバカなのか!!? いや わかってはいたが 「も~ 痛いじゃん 扉も壊して~ ぷんぷん!」 黙れ!! ~~~~~~~~~~~~~~ 現在 任務執行中 位置 ラスタリア城太陽の棟(西の棟)上層部、通気管内 俺と そしてヴィッツは 四つん這いになりその中をズリズリと進んでいた 「で? 何っで 指示役のアンタが本拠に乗り込んでるんだよっ」 前を見たまま 後方を付いて来るヴィッツに問う 「いや~ 何かさ~ 先生、指示役に向かないからって 主司令官様に…」 司令官様 ごもっともです が 何故今更? なんて 口に出さずにつっこんでみる 「あのさぁ 司令官様 ひとりで指揮って大変だよね~」 誰のせいだ 「まぁね~? 多分、俺が居ても居なくても一緒なんだろうけどさぁ」 へらへらした口調で 自らの役立たず宣言 オゥ 自覚ありでしたか
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