序章

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目を閉じてまた開く…… 何度も繰り返すが見えるのは……少女の顔と……青い光の空間 ……ピピピッ……カチッ…… 目を開きぼんやりとした視界のまま辺りを見回すが、変わらない場所 働かない頭からは先ほどの不可思議なものは消えていた。 無表情のまま少年はベッドから下りいつもの服に着替えた。 外から響いてくる蝉の鳴き声が季節を告げていた。 「今日も天気は……晴れ……今日も暑くなるのか……」 少年は呟きながらも部屋を出て階段を下り台所に入った。 「今日の朝食は……おにぎりとサラダでいいか……」 少年はボーッとしながらも作って食べた。 「今日もバイトか……いや……今日からバイトも休みか……久々に出かけるか……」 食器を洗って片付け軽く身支度をして家を出た。 そして玄関から出た事を後悔した。 「今日こそはテメェの両親の借金2億5千万円払ってもらおうか」 ヤクザの男がナイフを見せながら言った。 「一昨日全額支払ったはずだ」 少年は毅然とした態度で言い返す。 「払った証拠はあるか」 「領収書みたいなものなら確かにあるが……」 「見せてみろ」 少年は一枚の紙を取り出して渡した。 「これが証拠……」 しかしヤクザの男は嘲笑うかのように言った。 「利子が足りねぇ!!大人舐めとんのか?!」 少年はすぐに言い返した。 「利子が足りない……利子が増える前に返したはず……」 しかしヤクザの男は嘲笑った。 「あと5千万だ!!明日までに準備しとけ」 それだけを告げて歩き去って行った。 少年は疲れたように溜め息を付くと商店街に足を向けた。 そこで少年の運命の歯車は狂い始める……
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