303人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕の1点先取だ」
棒立ちの郁に中目黒がボールをパスする。
ボールがとてつもなく重い。手が震えている・・・。
反応できたのに、止めることができなかった悔しさというより、身体が動かない恐怖で震えているのだろうか。
たった数秒の間に、郁は今まで培ってきた全ての自信を失った。
「すまん、用事ができた」
ボールをゆっくり地面に置く。
もう、バスケなんて絶対にしない。
いや・・・できない。
不思議そうに顔を見合わせる中目黒と愛先輩をよそに、郁はその場から逃げ出した。
最初のコメントを投稿しよう!