第一章:ショートヘアーの彼女

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「僕の1点先取だ」 棒立ちの郁に中目黒がボールをパスする。 ボールがとてつもなく重い。手が震えている・・・。 反応できたのに、止めることができなかった悔しさというより、身体が動かない恐怖で震えているのだろうか。 たった数秒の間に、郁は今まで培ってきた全ての自信を失った。 「すまん、用事ができた」 ボールをゆっくり地面に置く。 もう、バスケなんて絶対にしない。 いや・・・できない。 不思議そうに顔を見合わせる中目黒と愛先輩をよそに、郁はその場から逃げ出した。
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