プロローグ

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中学2年の夏、全国大会で2人の天才がその名を轟かせた。 桜 菊次郎、牧島 蘭丸。 別のブロック代表だが、お互いに3年、ポジションは同じガード。2大ガードとして中学バスケットボール界を大いに騒がしていた。 地方では誰にも負ける気がせず、天狗になりかけていた自分に始めて力の差を思いしらされたのもこの2人だった。 来年への雪辱を誓い、新チームが始動した矢先に俺はバスケットの神様から見放されてしまった。 大会の後から腰に痛みを感じていた。今、戦線を離れる訳にはいかない、結局冬まで隠しながらプレーしてきた。けれど、日を重ねるごとに痛みは悪化していく。軟骨が神経を圧迫する、重度の椎間板ヘルニアだった。遂には、激しい痛みにジャンプ、走ることすらできなくなってしまった。 それっきり、二宮 郁が再びコートへ戻ることはなかった。
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