幽体離脱。

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翌日、警察がまた来た。 何やら事故を調べている様子で、知らない単語が行き交っていた。 有紗が両親と来たのは警察が帰った後だった。 「勇人…」 俺の名前をか細い声で呼んだ。 涙を流して、その場に倒れ込む。 『有紗っ‼俺はココにいるんだよっ‼』 「……」 叫んでも、届かない。 有紗は両親に支えられながら、泣き続けた。 聞いていて苦しくなった。 「病院に行ってみましょう。」 お母さんに促されて、ようやく歩き出した。 『俺も連れてってくれっ‼』 「……」 『置いていかないでっ‼』 「……」 独りになるのが嫌だ。 それ以上に、俺が今どんな状態なのかが知りたい。 不安でたまらない…。 有紗も両親も、俺には気付かなかった。 いくら彼女であったとしても、今の俺をどうにもできない。 気付けばまた取り残されていた。
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