傍ら。

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しばらくの間、永至は顔をあげずにいたが、「……帰る」と唐突に呟いて顔をあげた。「う、うん」私が遅れて返事をすると、「っ、」何も言わずに右手を捕まれた。びっくりして永至を見ると、数秒目があって、「手繋いだだけだろ」と言われた。私は首を縦に振るだけでいっぱいいっぱい――心臓がバクバクいっていた。 黙々と歩きながら、私は手汗の心配とかばかりしていた。永至の顔が見れない。視界に入ってくる程度では、真っ直ぐ前を見ていて、いつもの永至らしかった。 やっぱりこんな緊張してるの私だけかも。眉間に皺を寄せて考えていると、あのさ、と永至が呟いた。 「あそこのソフトクリーム、味変わんない?」 「お、美味しいよっ」 「ふぅん……」 永至は目を一瞬細めて、もうずっと行ってない、と呟いた。 「未来と一緒に行ったのが最後」
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