指先。

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永至の家に入ると、カレーの良い匂いがした。 リビングで「連れてきた。寝てた」永至はそう言って、カレーが置かれたテーブルの椅子に座ると「未来ちゃん!心配したわ。寝てたのねー」キッチンからカレーの皿を二つ持った江梨子さん(永至のお母さん)が出てきた。 「すいません。晩ご飯ご馳走になります」 「良いのよ。久しぶりに未来ちゃんと食べれるの楽しみにしてたんだから。さあ食べましょう」 三人でカレーを食べながら話をした(永至はほとんど喋らない)。江梨子さんの料理はすごく美味しい。 「来てねって言っても未来ちゃん来ないから、最終手段で永至使っちゃった。正解だったわね」 江梨子さんは水を飲みクスクスと笑った。朝とか夕方に時々会うことがあって、そのたびに誘われていたけど、私はそれを断っていたのだ。 「永至は学校でどんな感じなの?ほら、この子昔からあまり喋らないから」 「え……」 江梨子さんは私の前に置かれたグラスに水を入れながら私に尋ねた。私は何も言えなかった。 ――――永至の学校の様子?
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